人身事故では,交通事故が発生した直後のお怪我をして体調が悪い状態の時から,治療費の請求を手始めに,加害者側と損害賠償の話をしないといけません。
しかも,加害者側には,多くの場合,任意保険会社がついており,示談代行ということで,任意保険会社の担当者という「交通事故のプロ」が被害者に対する対応を一手に引き受けてくれるのに対し,被害者は「まったく初めての体験」であることの多い,損害賠償交渉を一人で対応しないといけません。
これは,「被害者であるはずなのに」新たな戦場ともいうべき示談交渉の場に放り出され,「プロを相手に武器も持たずに」戦うというような,まったく理不尽な状況です。
そんな場合は,一人で悩まずに,一度弁護士に相談してみましょう。
「弁護士に依頼すれば,示談金額が必ず上がります」とは言い切れませんが,少なくとも,解決までの道のりは提示できると思います。
人間は,先が見えない場合に最も不安を感じるもので,逆に,先が見えた後は,いくらその状況が困難であったとしても,対処のしようがあれば,それに従い頑張っていくことができると思います。
つまり,弁護士に相談することで,事故後の処理の方向性がある程度明らかになり,安心していただけると思います。
また,裁判等で認定される賠償金額を踏まえてアドバイスさせていただきますので,何かよくわからないうちに示談をしてしまい,本来得られるはずの賠償金額を得られないということがなくなると思います。
以下,特に,弁護士に相談すべきケースを挙げておきます。
・ 弁護士に相談すべきケース
1 過失割合に大きな争いがあるケース
加害者側に任意保険会社がついているケースでは,交渉窓口となっている任意保険会社の担当者から,過失について,加害者の主張に基づき,一方的に,納得できない割合が主張される場合があります。
ご自身がご主張されたい事故状況と加害者側の主張とを対比したうえで,裁判等ではどのような点が争点となり,どの程度の過失割合となる可能性が高いかをご説明いたします。
最終的には,話し合いで解決できない場合も見据えて,裁判等も対応する必要がありますので,早い時期に弁護士に相談しましょう。
2 治療が長期化するケース
治療が長期化してくると,当初は治療費を負担してくれていた加害者側の任意保険会社も,治療費負担の打ち切りを言ってきます(このとき,同時に自賠責保険に対する後遺障害認定申請の手続きの案内があるときもありますが,その点は,後の3項を参照ください)。
そんな時には任意保険会社の言いなりになる必要はありませんので,弁護士に相談してみてください。
つまり,治療を継続するかどうかは,あくまで,医学的な判断ですので,治療をしてくれている主治医と相談して決めるべきもので,加害者側の任意保険会社が決めるものではありません。
ただ,裁判等になれば,「適切な時期に」「適切な治療機関」の受診をしていない等,治療の経過に問題がある場合は,治療をしていても,治療費を損害として認定してもらえない場合もあります。
そのようなことは,なかなか一般的には理解しづらいと思いますので,弁護士に相談してみてください。
3 治療を継続しても,痛みや後遺症が残るケース
治療をいくら継続しても,完治しないケースはあります。
いわゆる「事故の後遺症」のうち,一定のものを裁判や自賠責保険では「後遺障害」と言います。
そして,「後遺障害」があると認定される場合は,「後遺障害」に対応する部分の損害賠償請求が可能です。
その金額は,後遺障害の程度(等級)により段階的に決められており,裁判の基準では,慰謝料だけで,1級だと3000万円近くの損害が認められることになります。
また,一番軽い14級でも100万円強の慰謝料が認定されることになります。
さらに,後遺障害の程度(等級)により,「逸失利益」(逸失利益とは,後遺障害や死亡という結果がなければ,得られていたであろう利益を事故により失ったとして,加害者に請求できる損害です)の賠償額が計算され,1級から3級までは100%,14級でも5%の逸失利益が,「後遺障害が残存するであろう」「勤労可能期間」にわたって認められるケースがあります。
その金額は,億円単位であったり,千万円単位になったりするケースもあります。
以上のとおり,後遺傷害がある場合には,金額が大きくなりますので,ぜひ一度弁護士に相談してみてください。(弁護士に相談した結果,等級認定が変更となり,賠償額が何倍となるケースもあります)
☆ 後遺障害がある事案では,できる限り,早い段階で弁護士に相談を
後遺障害がある事案では,弁護士に相談すべきことはすでに書いたとおりですが,可能でしたら,自賠責保険に対して後遺障害の認定申請をする前,つまり,治療が終了する前に弁護士に相談してください。
後遺障害の認定申請手続きから,弁護士がお手伝いいたします。
つまり,任意保険会社が治療費を負担している場合,治療が長期化して後遺障害がありそうな事案では,任意保険会社の担当者から,「治療費の支払を打ち切りたい。」という打診があると同時に,後遺障害の認定申請をするかどうかの打診があり,後遺障害認定申請に必要な「自賠責保険後遺障害診断書」の作成依頼があるケースが多いです。
この「自賠責保険後遺障害診断書」は,自賠責保険が後遺障害を認定する際に最も重視される書類であり,その書き方により,後遺障害の等級認定結果が変わる可能性があります。
そして,認定される後遺障害の等級が一段階違うだけでも,加害者に対し損害賠償請求できる金額が倍近くになることもあります。
すなわち,「自賠責保険後遺障害診断書」の書き方は極めて重要なのです。
この段階で,弁護士が「適切な等級認定がされるようなアドバイス」ができれば,その後の損害賠償請求もスムーズに行く可能性が高いですので,ぜひ,「自賠責後遺障害診断書」を作成する段階で,弁護士に相談をしてみてください。
物損事故でも当然弁護士に依頼することができます。
人身事故と同様,過失割合につき,加害者側についた任意保険会社の担当者が,加害者の主張に基づいた,一方的な過失割合を押し付けてくる場合もあります。
その場合は,弁護士が,ご自身の事故発生状況の主張と加害者側の主張を確認したうえで,裁判等で争いとなるポイントや,想定される過失割合をご説明いたします。
また,裁判等では認められるはずの格落ち(評価損)も,裁判等にならない時点では任意保険会社が認めてくれることはほとんどありません。
そのような場合は,裁判等も見据えて,弁護士を入れて交渉することも必要になりますので,ぜひ一度弁護士に相談してみてください。
なお,弁護士に依頼する費用については,ご自身やご家族が任意保険に加入されている場合,弁護士費用特約を利用して,実質的に弁護士費用を負担することなく,弁護士に依頼することができる場合があります。(弁護士費用特約については、「任意保険の便利な特約」をご参照ください)
また,当事務所は,初回の法律相談は無料でしておりますので,お気軽にご相談してみてください。